022/服部 宏哉さん

まいばら暮らしを楽しむ人022/服部 宏哉さん

明治40年頃に建てられた蔵を改装したジーンズリペア工房「WES LAKE HOUSE(ウェスレイクハウス)」のオーナーです。

移住のきっかけになったことはなんですか?

昔から自身の将来設計を考えるのは早い方でした。大阪の服飾専門学校に通っている時の求人で、デニムメーカー「DENIME(ドゥニーム」のリペア担当としてアルバイトしたのち、卒業後にそのまま就職しました。全国から届くデニムを修理する日々の中で、「これは天職かもしれない」と感じていたことが、ジーンズリペアの世界に足を踏み入れ、今日まで続けてこれた大きなきっかけになりました。

退職後には経験値を蓄えるべく、雑貨の営業や配送の荷下ろしなどいろいろな仕事をしながら、準備期間を経て30歳で大阪の梅田にジーンズリペアのお店を開業し、約13年営業を続けました。開業当時、梅田周辺にはリペアショップが少なかったので、摂津、箕面など大阪北部にお住まいのお客さんがたくさん足を運んで来てくれました。

振り返ると自分には大阪の商売のテンポや、街の空気感が合わなくなってきていると感じていました。梅田周辺はとくにそうで、人が多く行き交う中心地となるような場所なのに、時代の変化とともに梅田に来なくても行けるようなショップばかりが集うようになりました。ジーンズ穿いてファッションを楽しんでる人も少なくなり、街の面白みもなくなってきているように感じました。


お店を10年続けた区切りに僕が生まれ育った地元に戻ろうと決めていたのですが、その矢先にコロナが来てしまいもうしばらく大阪にいましたが、その間にも物価高といった様々な情勢が変わる出来事も重なり、少し遅れて移住することを決意しました。
その後は、長浜・米原あたりにある空き家を探してみましたが、なかなか理想的なものが見当たらない中で、琵琶湖の近くにある世継という地域に、蔵付きの空き家に出会いました。

昔からジーンズが好きだったのですが、実は「Carhartt(カーハート)」も大好きで“琵琶湖の風を感じながら着てみたい”と思っていたんです。カーハートは1889年に五大湖のそば、アメリカ・ミシガン州で誕生したワークウェアブランドで、日本一大きな湖・琵琶湖がある滋賀なら、環境がとても似ているしCarharttの生地の心地よさをより一層体感できると思いました。
また同じ年に米原駅も開業しており、そんな偶然にも縁を感じて米原市へ移住することを決めました。

米原を拠点にしてみて良かったところはどこですか?

この場所を選んだ一番の理由は、琵琶湖や伊吹山に囲まれた「原風景」に心を動かされたから。田舎ではあるけれど、坂田駅から歩いて来られるアクセスの良さや車窓から広がる景色には、今でも感動することがあります。
米原に移住してからは、家の横にある畑で野菜づくりを始めました。長浜に住む両親も定期的に遊びに来てくれていて、一緒に野菜づくりを楽しんでいます。

工房は古い蔵を改装して、2024年5月にジーンズリペアショップとして移転オープンしました。
1階では縫製作業場兼カフェとしても楽しんでもらえるようにしています。カフェメニューはコーヒーや紅茶などをご用意しており、米原市にある伊吹山もしくは霊仙山の麓にある名水百選にも選ばれた湧き水を使用しています。2階は大阪の職人が作るウェアや古着などを販売しています。

ジーンズリペア、裾上げのご依頼、もしくは2階にて販売商品のご購入代金合計が5,000円以上の場合は、2名様まですべてのカフェメニューを無料で提供しています。
2024年1月に、帽子をメインとする古着を解体して制作するオールハンドメイド製のリメイクブランド「WIGRATORE(ウィグラトリ)」を立ち上げ、その生地としてCarharttを使用しています。

大阪にいたころよりも、人との出会いや流れの“運”に素直に乗れている感覚があります。あえて急がず、ゆるやかなリズムで会話や提案を大切にしたい。それが米原で暮らす、そしてここで店を構える醍醐味だと思っています。
おかげさまで、大阪時代の常連のお客さんが米原へ足を運んでくださったり、SNSなどを見て滋賀にお住まいの方が立ち寄ってくださるようになってきています。米原市内や地元への宣伝がまだまだだなと感じているので、これからがんばっていきます!(笑)

今後は、デニムの洗い方ワークショップや昔の着物や反物を使ったワークショップなども展開していきたいと考えています。
“服は着るだけじゃなく、知る・触れる・直す”という体験ができる場所を、これからもこの蔵から発信していきます。

●どんな方に米原はおすすめだと感じますか?

山や水の自然の風景を楽しみながらも、駅やスーパーまで歩いて行ける距離感でほどよくお店がある。そんな「無駄のないコンパクトシティ」が米原だと感じます。

山深い田舎の古民家でのんびり過ごす景色に憧れる方は多いですが、人生を長い目で見たとき、体が動かなくなったときに困らない生活の基盤も大切だと考えていて、米原はそのちょうどいい田舎感と生活インフラの近さが魅力だと思います。

都会と田舎、どちらも経験したうえで「やっぱり田舎で暮らしたい」と思ったとき。その感覚を持った人には、この町の暮らしがちょうどいいと思います。

●移住を考えている方へメッセージ

滋賀県は琵琶湖や川など水の景色が多く、普通の田舎とは少し違った魅力があります。地形的な強さもあって、大阪など都市部から見ても好印象なエリアです。20年たっても変わらない景色が残っているのは、それだけ価値がある証拠だと思います。

移住は「どこで暮らすか」だけでなく、「どんな軸を持って人生を過ごすか」が大切だと感じています。都会でしかできない仕事ではなく、どこに行っても続けられる仕事を選び、マルチワークで新しいことに挑戦する姿勢があれば、田舎でも十分やっていけます。

服やデニムも同じで、長く続いているブランドほど基礎となる形・製法が今日まで引き継がれていて、今でも通用するデザインでしあがっています。移住も同じで、自分なりの基盤をしっかり持って、ブレずに暮らしを楽しむことが、長く続く移住生活につながると思います。

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