まいばら暮らしを楽しむ人024/鈴木 孝平さん

●移住のきっかけになったことはなんですか?

移住のきっかけは2017年に米原市で募集された「水源の里まいばら 自伐型林業みらいつくり隊」という地域おこし協力隊です。
京都で印刷・出版を行う会社で営業職をしていたのですが、過労を機に退職しました。退職後は「自伐型林業」というものに興味を持ち、やってみたいと思うようになりました。
自伐型林業とは
森林組合などの事業体に委託せず、こじんや団体が山の管理を行うもの
とはいえ素人なので、未経験でも始められる場所を探していた時に、地域おこし協力隊の任務として募集している自治体があることを知りました。
いくつか見に行く中で、当時は京都に住んでいたこと・2人目の子どもの出産を控えていたこともあり近畿圏で探していて、米原を見つけました。“滋賀だったら京都からも比較的近いし、いいんじゃない?”と考え応募しました。2017年10月に晴れて米原市の地域おこし協力隊として着任しました。
隊員としての活動期間は2年半でしたが、その間に生木を使った木工「グリーンウッドワーク」に出会い、2018年から生木のスプーンづくりやワークショップを開催するようになりました。こうして現在のブランド名となる「スーパー生木ラボ」が誕生しました。
グリーンウッドワークとは
森で伐採したばかりの乾燥していない木=生木を手工具で割ったり削ったりしながら、小物や家具を作るものづくりのことです。
●米原を拠点にしてみて良かったところはどこですか?
米原に来てからは、地域おこし協力隊で個人事業主になったので、働き方そのものががらっと変わりました。もちろん、すべてが自分の責任になるけれど、働き方や時間の使い方を決められるっていうのは、すごく大きな変化です。
会社員時代は、もう体力の限り働いていましたね。日付をまたぐのは当たり前で、「しゃかりきにやるのが仕事」だと思ってました。できることは全部自分でやらなきゃって気負っていたから、今思えば、かなり効率の悪い進め方をしていたと思います。
変化してからは子どもと過ごす時間も増えましたし、体調面で言えば、風邪をまったくひかなくなったんです。 仕事からくるストレスが本当に減って、前と比べると「百分の一ぐらい」っていうくらい楽になった感覚があります。
食生活も外食が減って、家で食べることが増えた分、新鮮な野菜を取り入れるようになったんですよね。 特別に気をつけているつもりはないけれど、自然とバランスが整ってきた感じです。

協力隊を卒業したあとに、グリーンウッドワークを生業にしていく中で、同じ地域にあった先輩移住者のお店とコラボして、展示会と食事会のイベントを開いたんです。
このイベントで、作品展示を通して生木の魅力を知っていただけたり、お食事をしながら生木の器やカトラリーの手触りを実際に使いながら体感いただく機会にもなりましたし、売上にもつながりました。これをきっかけに「スーパー生木ラボ」として1本でやっていけるぞという見通しが立ったのは、大きな手ごたえでしたね。
現在は、オンラインショップでの販売に加えて、滋賀・京都・大阪を中心に、ポップアップイベントやグループ展などにも出展しています。実際に手にとってもらえる機会を増やすことで、生木のものづくりをより多くの方に届けられるよう、少しずつ活動の幅を広げています。

●どんな方に米原はおすすめだと感じますか?

「ものづくりを深めたい人」にとって米原はいい環境だと感じます。 僕自身は芸大を出ていますが、木を触ったことなんてほとんどなくて。最初はYouTubeを見たり、本を読んだり、ときどき人に教えてもらったりしながら、試行錯誤で器づくりを始めました。
そうやって、自分のペースで手を動かす時間をきちんと確保できるというのが、地方ならではの良さだと思います。 専門学校やスクールに通う方法もあるけれど、そういった場所では「人と比べる」ことも避けられないですよね。
僕は、比べる相手が自分しかいない環境で、昨日の自分とだけ向き合いながら少しずつ上達していく。そんな積み重ねが、結果的によかったなと感じています。
街に出れば美術館やギャラリーで良いものに触れることもできるし、逆に日常に戻れば、静かに手を動かすだけの時間がある。刺激と静けさを行き来できる、そういったリズムが心地よいのかもしれません。
地方暮らしって、「刺激が少ない」と言われることもあるけど、それって「ノイズが少ない」ということだと思うんですよね。
商業施設も多くないし、暮らしの導線もシンプルだから、余白がある分、自分の中の“やりたい”にしっかり向き合える。それを心地よいと感じられる人には、すごくおすすめの場所だと思います。
●移住を考えている方へメッセージ

人が多すぎない。情報が溢れすぎない。時間がゆっくり流れている。
それが、米原の山の上に住んでみて、手仕事をしてみて感じたことです。
もちろん、いきなり全部を決める必要はないと思います。 何度か現地へ足を運んで自分の目で見る価値はある。
地域によっては、地元の人だけでなく外から来た人も迎え入れる空気があります。 なので「知らない土地に飛び込むのは不安だな」という方でも、きっと安心して始められるんじゃないかなと感じています。
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